<はじめに>
我が国日本は、幕末期の欧米列強の脅威に対する危機感から、明治維新によって封建制度を脱却し近代国家への道を歩み始めました。そこから僅か20数年で経済力や軍事力を急速に向上させ、国際社会において存在感を高めました。第二次世界大戦終結後には、戦後復興まで100年はかかると言われるほど焦土化した国土から目覚ましい早さで経済大国への飛躍を成し遂げました。その後、バブル経済の崩壊、そして東日本大震災、日本は幾度となく困難に遭いながらも、その時々の先達がそれらに立ち向かい乗り越えてきました。歴史を振り返ると、あらゆる困難に立ち向かう挑戦者の魂がこの国の未来を導いてきたのだと思わずにはいられません。
現在の日本は、人口減少と少子高齢化によって社会保障制度や経済に揺らぎが生じ、追い打ちをかけるように自然災害の激甚化と多発化が人々の生活に大きな影響を与えています。誰もが下を向きたくなるような時代ですが、こんな時代だからこそ、誰かが一歩踏み出さなければなりません。そして、その一歩を踏み出すのは他ならぬ私たちなのです。
臆することなく未来を切り拓き、可能性溢れる愛知を創造しよう。
今まさに私たちはこの時代の挑戦者なのだ。
<LOMに寄り添った支援>
我々の住まう愛知県は、同じ愛知という括りの中でも地域ごとに特色が異なり、抱える課題も異なります。それぞれの地域の課題を解決するのは、やはりその地域に根ざして活動するLOMです。そうであるならば、LOMの活性化こそ最重要課題です。その中でも会員拡大については関心が高いのではないでしょうか。2014年の県内会員会議所期首会員数は2,282名であり、2024年の県内会員会議所期首会員数は1,615名です。10年間で会員数は約30%減少しているのに対し、日本の総人口はここ10年で約2%しか減少していません。人口減少によって入会候補者の絶対数が減っているから仕方がないという論理は成り立ちませんし、残念ながら毎年行われている会員拡大の成功メソッドの共有といった間接的な支援の効果が限定的であることを数字が証明しています。結果にこだわるのであれば、愛知ブロック協議会のスケールメリットを活かした支援を行なっていくことが必要であると考えます。
しかし、忘れてはならないのが会員減少はあくまでも現象であり、それ自体が課題ではないということです。会員減少によって起きる課題の最たるものは、青年会議所運動が地域に展開されないことです。語弊を恐れず言うのであれば、会員数が減少しようとも青年会議所運動が地域に波及さえすれば良いのです。そのために、限られた会員数でも効果的に運動発信できる組織の提案、人が関わりたくなる雰囲気作り、事業実施に必要なサポートなど、それぞれのLOMの実情に寄り添った支援を行って参ります。地域に運動を発信しようとするLOMが、リソース不足によってそれを諦めなければならないということがないように愛知ブロック協議会はより直接的且つ包括的な支援に挑戦します。
<終戦後80年の節目に>
ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まって以来、戦争というものが世界各国で強く意識されるようになりました。また、中国の台湾侵攻も懸念されており、2027年までにその可能性があるとも言われています。そのような中、世界価値観調査の「もし戦争が起きたら国のために戦いますか」という質問に対し、日本で「はい」と回答した人は13.2%で一番低い数値で、日本に次いで「はい」という回答が少なかった国でもその数値は倍以上の32.8%でした。それだけでなく、「わからない」と答えた比率も38.1%と世界で最も大きい数値でした。これらの数値は、目に見えて戦争や軍事的脅威がないことや、日本国憲法が戦争放棄条項を有しているから大丈夫だろうという安心感が表れているように見えます。第二次世界大戦終結から本年で80年の節目を迎えます。誰もがこのまま平和であってほしいと願いますが、平和を求めるのであれば、戦争や国家安全保障について学び、戦争をさせないための努力が必要です。有事が目前に迫っている今こそ、改めて平和について考えるべきなのです。しかし、決して難しいことだけを考える必要はなく、住んでいるまちや人の繋がり、今ある環境の尊さに気付くことだけでも平和への足掛かりとなるはずです。まずは、私たちの住まうこの愛知から平和意識醸成に挑戦していきましょう。
<国際青年会議所のネットワークを活かした世界貢献>
世界全体に目を向けると、科学技術の発展、医療の進歩、教育の普及、経済の成長など、多くの分野で進展が見られます。しかしながら、まだ多くの国々が発展途上にあり、貧困や紛争など、抱えている課題は異なるものの、共通して深刻な影響を及ぼしています。公益社団法人日本青年会議所の定款には、国際青年会議所と協調して世界の繁栄と平和に寄与することを目的とすると明記されており、我々が国際社会の一員として、こうした世界の課題解決に向けて積極的に取り組むことが責務であることを示しています。日本ではODAを通じて、エチオピアの乾燥地帯の安全な水の確保や、内戦の影響で初等教育就学率の低いアンゴラに学校施設の整備、運営管理の技術指導を実施するなど、世界貢献に努めています。我々は地域の課題解決のために市民の意識変革運動を展開してきた団体です。我々だからこそできる青年会議所版ODAを実施することによって、世界の繁栄に寄与することができるはずです。国際青年会議所には我々と同じように世界各地で地域の課題解決に取り組んでいる会員がいます。我々だけではできないことも、彼らと共に取り組むことで可能性が大きく広がります。国際青年会議所の繋がりを活かし、臆することなく世界の課題に挑戦していきましょう。
<次代を担う人財育成>
青年会議所の使命は、青年が社会により良い変化をもたらすためにリーダーシップの開発と成長の機会を提供することであるとJCIMissionに明記されています。リーダーシップの開発と成長の機会の提供はLOMの活動によって得ることができますが、他地域のリーダーと出会い切磋琢磨できる機会はLOMの活動だけでは得難い貴重なものです。会員減少と在籍年数の低下が進む中、そのような機会を有効に活用し、より多くの学びを提供できるように検討していかなければなりません。特に近年では、会員減少によって入会間もない会員がLOMの要職を担うことも少なくありません。そのため、入会間もない会員でも青年会議所運動を起こすことができる実践的な育成プログラムが必要です。幸いにも本協議会では、入会3年目までの会員を対象としたブロックアカデミー委員会が46年という長きにわたり続いています。その仕組みを継承し、より実践的な要素を加えることで、次代の青年会議所を担うリーダーの育成に挑戦します。
<認知度の向上と共感の創出>
広報の役割の一つは認知度の向上です。認知度を向上させるためには、やはり人の目により多く触れるしかありません。SNSの活用はもちろんのこと、プレスリリースを積極的に行い、メディアへの露出を図ることも必要です。しかし、ただ人目に触れるだけではなく、一貫したブランディングもしていかなければなりません。ブランディングとは、企業や個人が他者からどのように認識されるかを意図的にコントロールするものです。我々がどのような存在として認識されたいのかを明確にし、そこを起点に一貫性のある発信をすることで、より認知されやすくなる広報を行うことができます。
そして、もう一つの役割は共感の創出です。人が共感することによって情報の発信力は格段に上がります。なぜならば、共感したものは自分から発信したくなるからです。共感を生むためにはストーリーを伝えなければなりません。よく何をやるのかに焦点を当てた広報を目にしますが、何をやるのかだけでは共感は生まれません。青年会議所の事業には、なぜその事業を実施する必要があるのか実施に至る背景があり、その背景の中には、どのような人がどのようなことに困っているのか、どのような問題が起きているのかというストーリーがあります。単に事業の開催を周知するだけでなく、その事業の持つストーリーを発信するだけで多くの共感を創出することができるはずです。
青年会議所における広報は永遠の課題です。SNSを見ると、いかにも青年会議所らしい投稿をよく見かけます。ある意味ブランディングとも言えなくないのですが、やはり市民の方の興味を惹くには青年会議所的投稿から脱却し、対内広報と対外広報の切り分けを明確にしなければなりません。既存の広報からの転換は容易ではありませんが、積極的に挑戦し、認知度の向上と共感の創出を目指していきましょう。
<持続可能性と可能性を追求するブロック大会の構築>
愛知ブロック協議会2025年度の集大成の場として、第58回愛知ブロック大会が小牧の地にて開催されます。小牧市で本大会を開催するのは2007年の第40回大会以来18年ぶりとなります。小牧市から愛知へインパクトを広げる運動発信と、開催地に地域益を創出できる大会構築を目指して参ります。その一方で、本大会の持続可能性も考えていかなければなりません。そこには適正な予算配分が必要ですし、どのように公益性を担保するのかという課題もあります。予算がなければ当然開催規模を検討すべきですし、公益性の高いものを目指すのであれば市民に分かりやすい方法で我々の展開してきた運動を発信するべきではないでしょうか。また、本大会は2025年度の集大成の場であると同時に、次年度への引き継ぎの場でもあります。組織をより良い状態で継承していくためには、より高い位置でバトンを渡すことが大切です。各LOMが集結する本大会はそのための最適な場でもあります。他にも愛知ブロック大会にはまだまだ未知なる可能性があるはずです。その可能性を最大限引き出すための挑戦が本大会をより良いものにしていくのです。愛知ブロック大会はあくまでも手法であることを忘れてはいけません。
<組織を進化させるために>
2020年より青年会議所の組織改革が謳われ、大きく変わり始めた年となりました。新型コロナウイルス感染症の蔓延によりリモート会議は当たり前になりましたし、プロトコルも大きく変わりました。しかし、本質的な改革の議論にはまだ至っていないと感じます。変えたくても変えられずに困っていることはないでしょうか。持続可能ではないと分かっていながら続けていることはないでしょうか。もしあるのだとしたら、それはなぜですか。おそらくその答えは、本当に変えてしまって良いのかがわからないということではないでしょうか。そうであるならば、しっかりと調査研究を行い、議論をする場をもてばいいのです。定款や諸規定、慣習に至るまで、なぜそうなっているのか裏付けをとり、本質を捉えた議論を尽くしたのであれば最適な形を導き出すことができるはずです。時には過去を知る先輩方にお話を伺うことも必要かもしれません。いつまでも変えて良いものと変えてはいけないものを見極めるという簡単な言葉に逃げていてはいけません。今がその見極める時なのです。組織をより良いものとして継承していくために恐れず挑戦していきましょう。
<終わりに>
高い志があった訳でもない私は、ただ先輩から言われるままに入会しました。真面目にやっていればみんな喜んでくれたし、飲みに行けば盛り上げてくれる人がいて、それなりに楽しい毎日を過ごしていました。しかし時が経ち、今度は自分がある程度の役職を担って組織を引っ張っていく立場になった頃、後輩から家庭や社業を犠牲にしてまでなぜJCをやらなければいけないのですかという言葉を投げかけられました。私は、世のため人のための活動だからある程度の犠牲は仕方がない、先輩もやってきたことだからと、その言葉に向き合いもせず、「やればわかる。」という便利な言葉で後輩をコントロールしていました。振り返ってみると、私自身青年会議所で自分の大切な時間とお金を使い社業が伸びた訳でもなければ、自己成長している実感もありませんでした。「あなたは何のためにJCをやっていますか?」この質問は、世のため人のためだという耳心地の良い言葉を隠れ蓑に、何の成果にもなっていない青年会議所活動をしていた私の核心をつく質問だったのです。
青年会議所に身を置く以上、会員自身がより良くなって欲しいと私は願っています。世のため人のためという気概は必要ですが、自分もまちを構成する一員であるにも関わらず、その自分を犠牲にすればまちが良くなるというパラレリズムが存在するはずがないのです。自分自身がより良くなるためにJCを使って挑戦してください。あなたの挑戦があなた自身をより良くし、まちをより良くします。だからこそ、大きな挑戦に恐れず踏み出しましょう。青年会議所にはあなたのBIGCHALLENGEに応える環境が整っています。